福祉・子育て
発達凹凸っ子、ぼちぼちいこう

「発達障がいの子の保育経験がない」と保育園から言われ、<療育>に通っていると言えなかったポレポレの粟さん。保護者を元気したい、保護者が元気じゃなくちゃ始まらない。という思いで療育(発達支援)のサポート活動を行い、月に1回、2時間の大切さを実感しています。つながるのって難しい…でも、「救われたんです」と、交流会の参加者さんの声を聞くと、強い気持ちが湧いてくると、日々、健闘なさっています。会員制とか固定メンバーだけが集まるような、保護者会は苦手。風通しの良い、メンバーが生き生きと関われるような居心地の良い活動を目指しています。お母さんのエネルギー充電ができますように。京都にある、発達障がいの子・発達に凹凸(おうとつ)がある子どもの保護者が交流会する、小さな当事者家族の市民活動の様子、ご紹介します。 療育とは 児童発達支援は、障がいのある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な 援助である。 (出典:児童発達支援ガイドライン/厚生労働省から抜粋) ポレポレはスワヒリ語のゆっくり、のんびり。 発達凹凸っ子の保護者会ポレポレの代表の粟さんは、宮崎県のご出身。ご結婚後、大阪や京都に引っ越して、タフに仕事をこなしながら、子育てに邁進していた矢先。「まさか、自分の子が障がいを持って生まれるなんて…」状況に迷いながら、どこまででも「醜くなっていく自分(黒い感情)」に腹を立てながら、人としてのいろんな感情と向き合う子育てを突きつけられ、それでも一人でもがき、終わりの見えないようなトンネルの中で、孤立していたそうです。他人のSNSを見ては羨ましく思ったり、息苦しさを感じながら、行き場のない子育てに絶望すら感じていました。でも粟さんは、お子さんのユウトくんのためにも決して諦めません。もともと、一匹狼のようなところもあり、自由にいろんな機関から有益な情報をもらおうと、情報収集に奮闘し始めます。次第に、職場のご縁などもありながら、福祉サービスなどの関わりが自然と生まれていきました。 他の子たちのように、対応してもらえない憤りや、やるせなさ、不安な気持ちの先で、たどり着いたのは「私は自分は社会を変えるような、すごい人(戦う人)なんかになれない。でも、普通の人だからこそ、困っているママたちの相談に乗って、つなげる役割をしたい」ということでした。 一人ずつ、会って話すうちに、会を作ってしまえ!と、2019年、発達障がいの子どもを育てる母親が療育終了後も保護者同士で繋がり、交流・情報交換ができる場所を求めて、会は発足しました。情報発信には、主に公式LINEを使い、地域で顔の見える関係づくりから行っています。参加者の皆さんが、運営側に回ってくれるという嬉しい流れも出てきています。発達凹凸っ子と共に生きている、みんなの、小さいけれど、確かな居場所になった瞬間でした。 初めての人同士って緊張するよね 交流会は当事者の保護者5名で運営をしています。会員制・会費制を設けず「ポレポレ=ぼちぼち、のんびりいこう」をモットーに活動しています。ポレポレ会では、初めての方には<お約束ゴト><自己紹介><事前アンケート>をお願いしていますが、常連メンバーさんとの距離を縮める意味でも、みんなが気分良く、主体的に関わっていけるように、プライバシーのことや批判的なご意見についても、すごく気を使っているとのことです。知りたいことが分かる。運営側の願いは、いつだってシンプル。会のみなさんへの共感と明日へのパワーを与えることです! ◆事前アンケートの一部◆ ・転校してからのお子さんの様子、コロナ禍での先生との連携について ・小学校学年中から、初めて児童精神科を受診する場合、子どもへの説明の仕方について ・中学校から普通級へ転籍後、クラスの子ども同士でのコミュニケーションの困りについて ◆お話し会での質問など◆ ・福祉事務所と児童福祉センターの申請先が違うのでややこしい ・日頃のモヤモヤを解消したい ・放課後等デイサービスについて知りたい ◆交流会後の参加者より◆ ・得意なことを一緒に見つけてくれる場所だった ・得意・不得意なことについて一緒に考えてくれる ・うちの子は“お悩み相談室”だと思っている ・保護者同士のリアルな福祉への疑問が聞けて良かった ・どの方のお話も「うん、うん」と心の中で頷けた 場づくりや専門知識をさらに ポレポレの会では、保護者同士のピアサポートも大切にしていますが、正しい情報を得ることも重要だと考えています。年に2回、臨床発達心理士、発達相談員を招いた交流会を行っています。ずっと保護者だけで交流会を行っていた時、難しい課題であったり、専門性が必要な相談内容について、保護者同士だけでは解決の糸口を見つけることさえも難しいことがあったそうです。この専門家の方をお迎えして一緒に交流する機会は貴重です。なお、福祉サービスが国や都道府県、市町村などに縦割りになっていたりして、ややこしいことも多いので、法的な角度から知識のある男性の保護者さんからも、貴重な意見が交換されているそうです。 ボランティアの難しさ 会員制じゃないです!参加費ありません!聞こえは本当にいいのですが、運営側はいつも「お金と人手」について悩んでいます。最近では京都ライオンズクラブより助成金の採択されましたが、いつだって運営は大変とのこと。今後は、家族交流イベントのように、子どもが子ども同士で遊べて、それを見守りながら保護者たちも立ち話ができるような場所も作りたいそうです。ただ、発達に凸凹がある子どもたちは、友達を作ること自体がすごく大変みたいです。会の展開も、ポレポレ(ゆっくり)式に、進んでいけらたいいですね。 勇気の一歩こそ 繋がりたいけど、縛られると疲れちゃう。そんな方たちに、ゆっくり寄り添いたい会がここにあります。地域で子育て支援を行っている会場(中京社会福祉協議会や中京いきいき市民活動センター、ひと・まち交流館京都など)で開催することで、プライバシーを守り、育児に不安がある保護者が安心して気持ちを話すことができます。 凸凹っ子育児中のみなさん。人には言いにくいような悩みを、知らない人たちと共有するまでには、かなり勇気がいることは百も承知です。特に、グレーゾーンと呼ばれる子どもは「社会的排除」の状態にあり公的な支援を受ける壁が高いですが、ポレポレの会では、そのような保護者へも、役立つような情報を届けることができます。勇気のある一歩を踏み出した先に、「みんなで分かり合える気楽さ」がきっと、待ってますように。「こんな所なら、また行けそう!」粟さんが、明るい笑顔でお待ちしています。 発達凹凸(おうとつ)っ子の保護者交流会 ポレポレ 代表者  粟 絵美(あわ・えみ) 連絡先  kouryuu.porepore@gmail.com 公式LINE ID @055neyyq SNS   https://www.instagram.com/porepore_kouryuu/

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